昨今、農地に関する法改正があり、「半農半X」言う新しい農業形態とライフスタイルを後押しする動きが活発化しています。 伊東市は、農業就業者数はごく少数で、産業としての農業は活発ではありませんが、伊豆高原等の別荘リゾート地も抱えており、家庭園芸以上、専業農家未満の「半農半X」のライフスタイル普及の下地を有しています。
日本の農業の将来の方向としては、「大きな農業バリューチェーン」(食料安定確保のための生産者の大規模化)と、「小さな農業バリューチェーン」(「健康価値」、「植物・自然と触れる価値」、「里山の芳醇さを享受する価値」の希求、)の2つに大別されます。
「半農半X」は、それらのウエルビーイング価値に立脚した新しいライフスタイルです。農水省による農地に関する法改正もそれらのライフスタイルを後押しする形となっています。
筆者は、上記の「半農半X」のライフスタイルを求めて、伊東市に移住して3年前に、いちご農園は立ち上げました。「半農半X」のライフスタイルには以下のようなウエルビーイング価値があると考えています。
【1】身の丈で自分の城を持つ: いちご高設栽培システムを導入した身の丈の生産者規模の施設園芸ハウスは、住まい、職場に次ぐサードプレース(居場所)と言えます。身の丈の農園を持つことは、自分の城を持つことに繋がるのです。
【2】農業をサイエンスするラボ: 施設園芸のいちご栽培は、知的挑戦という研究ライフを目指す人にとっては最高のラボ空間と言えます。 国内外の論文・文献等で発表される新しい微生物活用やバイオスティムラント技術、スマート園芸技術の試験導入等、知的挑戦のネタはつきません。
【3】栽培と収穫の喜びを共有するいちご談義: いちご農家は、いちごの精密な生育観察を通じて、植物との会話をする毎日です。いちごの施設園芸に係わっている人が集まると初対面であっても、いちご生育や収穫談義で盛り上がり、思わず時間を忘れてしまう至高な時間となります。
「半農半X」のライフスタイルを志向する方が増えることは、農業が活発でない伊東・伊豆半島東海岸地域で、里山保全に繋がることが期待されます。大規模農業経営ではなく、芳醇な里山価値を希求する「半農半X」という農業の形態が、伊東・伊豆に定着すること大いに期待する次第です。
伊東市富戸在住
移住促進官民共同プロジェクトチーム 地域課題勉強会 世話役
高野一郎
【画像】著作者:aleksandarlittlewolf/出典:Freepik
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